はじめに
DMCより発売されているSunny SP3(龍波光彦選手モデル)。
Sunny SP3は、一見するとごく普通のストレートバレル。
しかし、その中身には幅広いプレイヤーを支える緻密な設計思想が詰まっています。
本記事では、表面上では分かりにくいその魅力を、物理学などの視点を踏まえ、徹底的に解説していきます。
Sunny SP3ってどんなダーツ?自分にも合うの?
そんな疑問を持つ方に向けて、スペック・カット構造をもとに徹底レビューし、「押し出しやすさと自然な回転の秘密」に迫ります。
Sunny SP3のスペック詳細

項目 | 数値 | 備考 |
---|---|---|
全長 | 44.0mm | 短すぎず長すぎない、安定感と取り回しのバランスに優れる長さ |
最大径 | 7.0mm | 握りやすく存在感のある太さで、指への接触感が明確 |
重量 | 20.5g | しっかり押し出せる重量で、手元の安定と飛びの直進性をサポート |
重心 | センター | フォームの癖を選ばず、幅広いスタイルにフィットする |
材質 | 90%タングステン | 高密度&高い耐久性 |
Sunny SPはコンパクトながらバランスに優れ、誰にでも扱いやすいストレート形状をベースとしています。
その機能性は3つのセクションに分かれたカット構成により、多様なプレイスタイルへ柔軟に対応可能となっています。
Sunny SP3のテーパーとカット構成
前方部

テーパー角:約1.6°
シャークカット幅:約1.45mm
溝の深さ:約0.3mm
中指や薬指が添えることで、ダーツを安定させる役割がある箇所。
指を優しく添えるだけで、ダーツが安定するようになっています。
中央部

- リングカット幅:1.0mm
- 溝の深さ:0.3mm
中央部には浅めのリングカットが等間隔で配置されています。
人差し指の先端や中指の一部が軽く触れ、グリップ全体がなじむ感じやダーツの角度が安定するような効果が期待できます。
指先に力が入りやすいプレイヤーや、疲労を感じやすい人にとって安心感のある構造になっています。
後方部

- テーパー角:約1.9°
- シャークカット幅:約1.4mm
- 溝の深さ:約0.3mm
- 縦カット幅:約1.2mm(6本)
Sunny SP3の最大の特徴と言えるゾーン。
シャークカットに縦カットが加わることで、指がしっかりとかかり、リリース直前までバレルが安定します。
自然に指から抜けていく動きが、バレルにスムーズに伝わる。
そんなにかかりすぎない、でも抜けすぎない。絶妙なバランスのカットです。
指にしっかりかかることで、リリース時の指の動きが安定し、ダーツを押し出す力の方向がブレにくくなります。
そのため、無理にダーツを回そうとしなくても、結果的に自然に回転がかかりやすくなります。
Sunny SP3のカット耐久性
※Aフライトレベルで週5日×2時間の使用を想定
- 前方部:3〜4ヶ月で滑りやすくなってくる
- 中央部:5〜6ヶ月でリングの輪郭が曖昧になってくる
- 後方部:4ヶ月前後で縦スリットの存在感が薄れてくる
厳しめにみて、4〜6ヶ月でのカットの変化が想定されます。
ただし、メインとなる後方部は、縦カットがあることで摩耗の進行が分散されやすく、見た目以上に長く使える可能性も。
その意味では、カットが削れない事よりも、カットが削れても使える事を重視したバレルと言えそうです。
Sunny SP3は、ズレずに飛ぶ
Sunny SP3は、ストレートに近い細身の形状と緻密なカット構造により、素直な飛びをします。
「良くも悪くも自分のフォームがそのまま出るバレル」です。
フォームの完成度が高ければ高いほど、飛びの美しさが際立つバレルと言えるでしょう。
後方のシャーク+縦カットにより、手首や指に強い力を入れなくても自然に押し出せるため、フォームの再現性が高まりやすく、狙った方向に真っすぐ飛ばしやすくなります。
Sunny SP3が合うプレイヤーの特徴とは?

合うプレイヤー
⭕️押し出すように投げるプレイヤー
→ リアのカットと相性がよく、センター重心であることも軌道が素直で分かりやすい。
⭕️軽く添えるようにグリップしたいプレイヤー
→ 中央部のリングカットが指の面に接することで、無駄な力をなくして自然なリリースができる。
⭕️ダーツに回転をかけたいプレイヤー
→ リアのカットが、リリース直前まで指にしっかりフィットし、滑らず安定して抜ける。その結果、ダーツを回そうと意識せずとも自然に回転がかかりやすくなる。
⭕️フォームの変化に応じてグリップ位置を変えていきたい人
→ リアグリップを主体と考えられていますが、中央のリングカットも十分にグリップ箇所として対応可能となっています。
合わない可能性があるプレイヤー
🔺 手汗が多く、湿気でグリップ感が変化しやすいプレイヤー
→ 湿気を含んだ指先の場合、中央のリングカットの浅さと細かさでは、滑りやすくなる可能性がある。
🔺 シャークカットの尖りに違和感があるプレイヤー
→ リアのシャークカット+縦カットが鋭めの感触で、指への当たりが気になる場合がある。
🔺 腕を振るように投げるタイプのプレイヤー
→ バレルが重たく、またカットがかかるため、リリース時に引っ掛かりを感じる可能性がある
Sunny SP3 をさらに深掘り
リアテーパー1.9°の設計意図とは?

指離れ補助とリリースのスムーズさ
Sunny SP3の後方には、わずかに傾いた1.9°のテーパーがあります。
このテーパーによって、強く握ったときでもバレルが前に傾きすぎたり、押し出しすぎたりするのを防いでくれます。
また、リリース時に指が自然に抜けやすくなり、押し出す方向が安定しやすくなるのもポイントです。
グリップ時の無意識の安定感
指がバレル後方に滑っていったとき、急激な段差よりも緩やかなテーパーの方が「ここだ」と感じる位置で自然に止まってくれます。
1.9°というテーパーは視覚的にはわかりにくいですが、触覚的には“境界”として働いてくれ、「無意識にグリップ位置が安定する」ようになっており、グリップ再現性が向上します。
この角度と太さは、「親指で支え、人差し指で押し出す」グリップを行うプレイヤーにフィットしやすく、手の中に自然と収まりやすいサイズになっています。
ただし、指に厚みがあるプレイヤーの場合は、骨格で支える感覚が得られにくく、指の肉がクッションとなってバレルが沈みやすくなることがあります。
そのような場合でも、Sunny SPの後方カットは、しっかりと指に引っかかるため、余計な力を入れずに安定したグリップがしやすくなっています。
Sunny SP3の飛び感を深掘り
Sunny SP3は、ストレートに近い形状と考えられたカット配置により、素直な飛びをします。
重心そのものはバレル中央にありますが、実際に指でグリップしたときに「ここがしっかり支えられる」と感じる位置は後方にあります。
実はこのように感じるバレルは貴重なのです。
この設計により、「ここを軸にして前へ押し出している」と感じる位置が手元に近づき、押し出す方向のブレが少なくなるため、飛びに直進性と安定感が生まれやすくなります。
さいごに
DMC Sunny SPは、「シンプルなストレートに見せかけた多機能バレル」です。
迷わず持てて、余計な動きをさせずに、ただまっすぐ飛ばす。
Sunny SP3は、そんな「思考から解放された投げ心地」を提供してくれるバレルです。
今のあなたのフォームにも、これからのあなたの上達にも、寄り添ってくれる一本となるでしょう。
詳細は公式サイトで確認してください

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筆者の簡単なプロフィール
ダーツ歴12年、PERFECTプロ歴3年。
ダーツの技術やバレルの特徴を調べるのが楽しみです!
実際に投げたバレルは400種類以上。(2022/3月現在)
数多くのレッスン受講歴あり、イップス・グリップイップスという経験から自身でも身体について勉強しています。